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主にスポーツなどで使われる言葉だが、人材を採用する時のポリシーとして、BPAという考え方がある。
BPAは【Best Player Available】の略で、「可能な限り最高の人材を採用する」という意味だ。これを聞くと、「なぜそんな当たり前のことがポリシーになるのか?」と不思議に思われる方がいるかもしれないが、このBPA、実は問題の多いやり方なのである。

外資系流通A社の年間の採用人数は、すべて本国の計画に沿って決められている。日本法人トップM氏は、順調な業績を背景にスタッフを増やそうとしているが、慎重な本国からブレーキがかけられている状況だ。
A社が必要としている人材は多岐にわたっている。システム・財務・営業・法務・渉外・企画…、ほとんど全ての部署が人員を増やして欲しいとトップのM氏に要望を出していた。
M氏は、自身がもともと人事畑の出身ということもあり、自ら採用業務に積極的に携わっていた。そして、M氏が考える採用方針がBPAだった。
M氏がBPAにこだわるのは、彼が大手企業出身で、有能なスタッフを持つことに慣れていたから。そして、A社の前の会社で同様のポリシーを貫いて成功したからだ、とA社内では言われている。

出来るだけいい人を採用しようと考えるのは、ひとつの採用枠に関していえば、常に正しいだろう。しかし、採用人数に上限があり、各ポジションに人員を配置する時はその限りでない。
つまりM氏は、スキルが高く、人柄のいいSEが二人いると、両方に内定をだしてしまうのだ。逆に法務に人材がどれだけ必要でも、基礎能力が低いと判断されれば決して採用に踏み切らない。さすがに同じ職種10人を同時に内定にすることはないが、あくまで基本はBPAなのである。

一昨年の採用で、M氏はもっとも人が足りていない経理をよそに、営業・人事・企画で複数の内定者を出した。昨年は特に増員の必要のない営業(業務改善)に、知り合いの紹介で面接した人物を受け入れてしまった。
採用した人はみな優秀で、仕事は出来る。マンパワーが十分な部署は劇的に業務改善が進み、A社の業績も全体として伸びている。しかし、キャリア採用で補充がなされない部署は、忙しさが雪だるま式に増えていった。

今年1月、本国から採用枠の通知が来ると、A社の人事・部門マネージャー、そして我々は、M氏に内緒で会議の場を持った。必要な部署に、いかに重点的に採用を行うかを話し合ったのだ。各部署のニーズを数値化し、職種毎に段階的な選考スケジュールを組んで、現在までに法務・企画・営業で補充が進んでいる。
だが、さすがにM氏の目もフシアナではない。ここに来て、人事が職種の優先順位に基づいて採用を行っていることに気がついた。

釈明に追われたのはまだ若いA社人事担当。
「どうしても人が必要という声がいくつかの部署からあったものですから…」
「その間に、優秀な人材を採用するチャンスを逃がしてしまったかもしれない」
「それはそうですが、現場の声を無視し続けるわけにもいきません」
「まあ、私も今年は他の仕事で、面接に時間がとれないので仕方ない。思うようにやってみろ」
そう言って、最後はM氏も担当者に仕事を任せる決断をしたのだった。

その担当者が部屋から去って、M氏が我々に対してこう言った。
「私はBPAの信条を捨てるつもりはないよ」
どう答えていいのか分からず、我々が困った顔をしているとM氏は笑みを浮かべた。
「こうやって私の足りないところを補ってくれるのは、優秀な部下を持っているからだよ。並の人材で満足していたら、飲み屋で陰口をいうだけで動こうとはしない。今、まさに私がBPAに基づいて採用を行ってきた成果が出ているわけだ」
なるほどと言うべきか、モノは言いようというべきか…。ベスト・プレイヤー・アベイラブル、M氏の人事戦略は続いていくようだ。
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7度目の球宴も確定

マリナーズのハーグローブ監督(57)が1日、当地でのブルージェイス戦前に、同日の試合を最後に辞任すると発表した。後任にはベンチコーチのジョン・マクラーレン氏(55)が昇格、2日から指揮を執る。突然の監督交代劇で揺れるなか、イチローは自身7度目の球宴出場が決まったこの日、きっちり5試合連続となる安打を放って5打数1安打。打率を.365とした。

「情熱がなくなり、限界を感じた」というハーグローブ監督。2日から新監督となるマクラーレンコーチは「スタッフを誇りに思うし、幸せだ。マイク(ハーグローブ監督)がここで打ち立てたものを作り続けていきたい。たった今から彼のゴーストを追っていかなければならない。野球について選手、スタッフと対話し、泥まみれになってやっていきたい」と、感極まり涙声になりながら語った。
イチローは6月中、試合後に「たった今もいろんなことが起こっている」と、チーム内部の動きを示唆していたが、ついに顕在化。とはいえ秋にFAとなるイチローの運命を左右する交代劇となるのかどうかは、今後の行方次第だ。
この日、イチローは3回の第2打席で、相手先発右腕マーカムの外角低め88マイル直球を巧みな流し打ちで左前打。5試合連続の安打を記録した。8回の第4打席は1-1の同点で2死満塁、勝ち越しのチャンスで登場。4番手アッカードに対して左飛。試合は1-1で迎えた9回無死一、二塁のチャンスで4番ギーエンが左前打を放ってサヨナラ勝ち。試合後はハーグローブ監督が各選手と抱き合って有終を飾った。
イチローはハーグローブ監督の交代について「みんな驚いたと思う」とひと言。ファン投票での球宴選出については「最も大事にしていることです。常に見られていることを意識してますから。(球宴は)その日が過ぎてしまえば何事もなかったような感じになるけど、だからこそ尊いことだと思います」と喜んだ。

【イチローの全打席】
1回 遊ゴロ
3回 左安打
5回 二ゴロ
7回 左飛
8回 左飛
【公式戦通算】打率.365 本塁打5 打点39

【城島の全打席】
2回 遊ゴロ
4回 左安打
6回 捕邪飛
8回 四球
【公式戦通算】打率.300 本塁打8 打点32


人生の重大な転機の1つ「転職」。
毎週月曜日は、人材紹介会社でエンジニアの「転職」と向き合っている
キャリアコンサルタントの“つぶやき”を紹介していきます。
さてさて、本日の“つぶやき”は……

*****

「優秀な人にたくさん会って、少しでも役に立って感謝されたい。」
そんな単純で、そしてとても難しいことにチャレンジしたくて
この業界に飛び込んだのが5年前。

アドバイザーとして、カウンセラーとして、コンサルタントとして。
立場を変えながら、お会いする技術者の価値観を徹底的に理解して、
その人が判断するのに必要な「考え方」と「情報」と「機会」を準備
して、最後まで一緒に納得できる「こたえ」を探す。
いまでは短期的な活動支援ではなく、5年周期の長期的なキャリアプラン
の提案もできるようになってきました。

じっくり話を聞くスタンスは変わってませんし、サービス精神は旺盛です。
そういう意味では、どんな方と話をしても、つまらないコンサルタント
ではないと自負しております。えへん。

そして最近。
自分の中に、「プライド」ができてきた気がします。
このプライドとは、コンサルタントとしての自信と責任。
転職希望者にとって良いことも良くないことも責任を持って言えること、
そのための自信が身に付いたことです。
そういう意味ではプライドは誇りとも言えます。

自分の仕事にプライドを持っている人は、とてもカッコいいですよね。

「仕事どうです?」と聞かれて、無理して「楽しい」と答えるよりも、
「大変だけど面白い」と笑顔で言えるカッコいい人を目指したい。
目指して努力したその結果がキャリアになるのだと信じたい。

みなさんは、プライドを持って仕事してますか?


■仕事の「縦」と「横」

キャリア雑談をする中でよく聞くのが、仕事と年齢のアンマッチに対する不安です。自分の年齢であればもっと高いスキルが要求されるのではないか、あるいは同じ仕事で転職するには、自分は年齢が高すぎるのではないか。特に転職を意識されている方からそういうご相談を受けます。
個々のご相談はさておき、仕事の幅をどう広げていくかというテーマは、専門性の高い仕事をしているエンジニアの皆さんには興味のあるところではないでしょうか。
田坂広志さんの『プロフェッショナル進化論 「個人シンクタンク」の時代が始まる』という本(PHP研究所)には、仕事の幅(プロフェッショナル・フィールド)を広げる方法として印象的な言葉がありました。
「自分の仕事を『縦』でなく、『横』にしてみる。」
ここで「縦」というのは仕事のテーマであり、「横」というのは仕事の方法です。ネットワークエンジニアであればネットワーク技術が「縦」、仕事をこなす自分なりの方法論(調査・分析のアプローチや問題解決のやり方など)が「横」に当たります。

■「縦」と「横」、どちらが重要?

わたしの限られた経験からではありますが、エンジニアを含むスペシャリストの方は往々にして自分の「横」のスキルを過小評価している方が少なくないと感じます。以前の会話を思い出してみると、こんな発言がありました。

  「重要なのは『成果』ですよね。それをどうやって出すかはプロならば個人個人で考えるべきことでしょう」
  「『コミュニケーション力を生かす』といっても、資格があるわけじゃないしなあ(笑)」

あくまでも「縦」が主であり、「横」は従であるかのようにとらえられています。確かに「横」だけでは仕事にならないし、「横」のスキルは資格の対象になるようなものではないと思います。しかし仕事の幅を広げる、つまり仕事のテーマ(「縦」)の方を変える際には、仕事の「横」、つまり自分なりの仕事の方法をどれだけ生かせるかが非常に重要になってきます。
自分の「横」の強みを理解していなければ、新しい「縦」に挑戦する勇気がわかなくなってしまいます。専門家の方が往々にして自分のフィールドから出たがらないのは、「縦」が強すぎるがゆえに自分の「横」スキルがどこまで通用するかを考えたことがなく、不安を感じるという側面があるのではないでしょうか。
自分の仕事のテーマ(「縦」)がどのような方法(「横」)によって支えられているのか。実はこれ、なかなか気が付くチャンスがありません。仕事の方法は、「縦」の仕事をこなすうえで必要なスキルとして学校や職場で少しずつ教わってきたことですし、ほかの職種と比較する機会もなかなかありませんから。

■他流試合で仕事の「横」を発見する

わたしは現在ビジネススクールの講師も務めていますので、さまざまな業界・職種・職位の方にお目に掛かる機会があります。そのような場で参加者の方が一様に驚かれるのは、いかに自分が、帰属する「世界」の思考パターンに染まっているかということ。個人差もありますが、長年携わってきた仕事の違いが顕著に出てきます。自分のものの見方・考え方が偏っていたことに気付く機会でもありますが、実は自分の培ってきたものの強さに気付ける機会でもあります。
エンジニアの参加者は、数は多くないものの、おしなべてある特徴を持っています。それは問題分析に強いこと。エンジニアであれば多くの方が(それとは知らずに)身に付けている工学的な問題解決のアプローチが、ほかの職種の人から「そこまで考えるのですか!」と驚かれる光景をしばしば見掛けます。ITとは異なるテーマ(例えば経営分析)であっても、分析的なアプローチはかなり使えるのです。
以前、このコラム欄で「強みとは相対的なもの」と書きました(「強みの上に自らを築け」)。上記のような「他流試合」によって、自分のいまの環境では分からない「強み」に気が付けたとしたら、これは貴重な発見ですね。
では、そのような発見の機会をどこに求めたらよいか。ビジネススクールでも、非営利組織の運営や手伝いでも、何でも構わないと思います。要するに自分の「縦」が通用しないような世界で時間を過ごしてみること。そうすれば、おのずと自分の持っている仕事の方法(「横」)が分かってくるのではないでしょうか。


このコラムでは、日頃お客様の転職活動にフォーカスしているが、実は我々:転職エージェントにも転職経験者は多い。
同業他社でアドバイザーをしていた者、人事・採用業務経験者、それにエンジニアなどの専門職から転向してきた者もいる。元Jリーガーもいれば、警察官もいる。そして、時に「自分が辞めた会社に人を紹介する」という経験をすることになるのだ。

エンジニアKさん(31歳)の転職相談を受けて、我々は自信を持ってメーカーA社を紹介した。
二時間半の面談で、求職者からの希望をじっくり聞いても、求人紹介は手探りになりがちだ。そんな中でKさんに対して、「オススメの会社」にA社を挙げることが出来たのは、Kさんを担当したアドバイザーがA社の元社員だったからであった。

「実は、私は以前、A社で働いていたんですよ」
アドバイザーがそう明かすと、Kさんはまず驚き、そしてすぐに少し眉をひそめた。おそらく『どうして自分がイヤで辞めた会社を、自分に勧めるのだろう』と考えたのだろう。
「A社は私には合いませんでした。エンジニアとして私の専門領域が中途半端だったため、A社のなかで自分の将来像が描けなかったのです」
アドバイザーは自分がA社を辞めた経緯を説明した。
「しかし、エンジニアとして軸足がしっかりしている人には、A社は素晴らしい環境を与えてくれる企業です。会社の風土も、かつての堅いだけのイメージとは違うところが出てきていますよ」
2年前まで在籍していた会社で、かつての同僚とも付き合いは続いている。アドバイザーはA社での働き方や風土を、具体例を交えて詳しく伝えた。

会社を辞めた人間は、現職よりも中立の立場。ある面ではその会社をより的確に見ることができる。Kさんはアドバイザーの話に納得してうなずき、「かつて働いたことがある人の勧めというのは、一番安心できますね」と、応募に意欲をみせてくれたのだった。

アドバイザーの見立て通り、KさんはA社の選考をクリアしていった。KさんもA社の考え方に共感し、転職が決まるのは時間の問題のように見えた。
ところが、セレモニーとして行われる役員面接の直前、Kさんは転職を取りやめてしまう。Kさんは現在のプロジェクトがこうなった、家族との話し合いがうまくいっていない、など色々な理由を述べたが、結局のところ、彼自身のなかで迷いが残っていたように我々には思えた。
A社の採用担当者は、Kさんの辞退に不快感を隠さなかった。
「緊急の事情があるならともかく、彼の言う理由はずっと以前から分かっていたことでしょう? どうしてもっと前に言ってくれなかったのか…」
役員面接の前日キャンセルで、人事も上層部から叱責を受けていたのだ。

この一件の二か月後、Kさんは再び我々のところにやってきた。そしてもう一度、A社を受けさせて欲しいと言うのだ。

「前回は、本当の意味で転職をする準備が出来ていませんでした。今回は仕事もきっちり区切りをつけてきましたし、家族にも十分納得して貰っています」

Kさんの訴えに、我々は応えた。渋るA社の人事を、昔のよしみでなんとか説得し、特例としてKさんをもう一度選考の俎上に載せてもらった。そして、今度は役員面接をこなし、正式な内定書類をもらうところまでこぎ着けた。
だが、しかし…。Kさんは現職の企業で引き留めを受けたようで(Kさんからの連絡が途絶えてしまったので推測するしかない)、再び辞退をしてしまった。
我々は、A社人事から呼び出しをくらうことになった。担当アドバイザーは針のムシロである。
A社の人事は担当アドバイザーに一言。
「こちらも大分無理をしたのに…。二度もつらく当たらないで下さいよ」
担当アドバイザーの転職は形式的には円満退社であるが、辞める時には相応の慰留も受け、A社に迷惑をまったくかけなかったわけではない。人事はそのことをよく覚えていた。
「いや、すみません。私も上(役員)から絞られましてね、ついイヤミを言ってしまいましたが、今後の紹介に期待していますよ」
そう言って意味ありげに笑うA社人事。我々は頭を下げるしかなかった。

現在、アドバイザーは嘆いている。
「A社はああ言いますけど、かえって紹介しづらいですよね。もう失敗できないと思うとプレッシャーが…」
無論、正道はひとつ、邪念を払って、転職者のために行動するしかないと分かってはいるのだが…。かつて働いていた会社に人を紹介するというのも、意外に大変なことなのである。


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